遺品整理と特殊清掃はどういう関係で、何が違うのでしょうか?
遺品整理と特殊清掃は、作業を行う状況や作業内容が根本的にまったく違います。
遺品整理とは | 特殊清掃とは |
遺品整理とは、故人が大切にしていたものや、通帳、現金などの価値のあるもの、思い出に残るものを分けて、必要な遺品を残し、不用な遺品を処分し整理する作業を指します。 | 特殊清掃とは、事件や事故、自殺等の変死現場や孤独死により遺体の発見が遅れた現場で、遺体の腐敗や腐乱によって汚れた部屋を原状回復させる業務を指します。 |
特に特殊清掃は深い専門知識と経験が必要な清掃作業と言えます。
このコラムでは、遺品整理と特殊清掃の作業内容や料金相場の違いを解説し、遺品整理と特殊清掃の繋がりについても説明します。
遺品整理とは、亡くなられた方の遺品を家族が整理すること
遺品整理について説明いたします。
遺品整理の作業内容
遺品整理とは、お部屋に遺された物品をただ綺麗に片付ける作業ではなく、故人や残されたご家族・ご友人の想いが詰まった価値あるものを区別しながら、残すものと処分するものを分け、必要があればお焚き上げをするなど、適切な整理・回収を行う作業です。
遺品整理では、一般的には普段の掃除で使うようなマスク、軍手、ゴミ袋、遺品を分別するための段ボール箱等を用意して行います。
作業内容としては、お部屋ごとに目の前にある物(遺品)を段ボール箱に仕分けていく作業となります。
段ボールは、「貴重品」「要るもの」「捨てるもの」「捨てるかどうか迷うもの」等に分けて、その箱に遺品を仕分けてゆくと作業がスムーズに進みます。
1人きりで遺品整理を行うのは、肉体的にも精神的にも大変です。兄弟など、遺品整理に参加できる親族何人かで日にちを合わせて協力して行うことを推奨します。
遺品の整理が完了したら、お部屋全体をキレイに掃除し、ごみ収集日に処分するものを出したり、かさばるものや処分しにくいものは不用品回収業者に処分してもらいます。仏壇や写真、人形などは、お寺などでお焚き上げをしてもらうこともあります。
遺品整理のタイミング
遺品整理を行うタイミングは、一般的には「亡くなった後、四十九日明けに行うのが良い」と言われていますが、特に決まりはありません。
四十九日よりも早く遺品整理を開始しても問題ないですし、逆に気持ちが落ち着くまで遺品整理を待っても良いでしょう。
しかし賃貸住宅の場合、長くお部屋を引き払わずにいれば、その期間に支払う家賃が負担になりますので、早めに遺品整理をして退去の手続きをされることをおすすめいたします。
遺品整理作業にかかる日数
【ご自身や家族のみで遺品整理を行う場合】
遺品整理をご自身で行う場合は、最短でも1ヶ月程度は見ておきましょう。例えば週末の土日に実家に戻って遺品整理をしても、なかなかテキパキと作業が進まず、思い出の品や写真が出てくると作業の手を止めたりして、あっという間に時間が経ってしまいます。
それらを考慮すると、遺品整理を自分でした場合、最低でも1ヵ月前後はかかることになるでしょう。
【遺品整理の専門業者に依頼する場合】
遺品整理の専門業者に依頼をする場合は、1~2日で完了することが多いです。
家族の立ち合いがない場合や、家族も一緒に遺品整理に参加する場合などで作業日数が異なりますが、遺品整理業者は作業の効率的な進め方や、第三者としての客観的なアドバイス、不用品回収業者との連携もしっかりできているので、遺品整理作業が格段に速くなります。
遺品整理作業の料金相場
遺品整理を専門業者に依頼した場合は、一般的に料金相場はワンルームで3万円程度、2階建て住宅で15万円程度となります。
その他代表的な住宅タイプごとの相場は以下の通りです。
- 長屋:約5万円
- 1LDK:約7万円
- 3LDK:約15万円
- 庭付き一軒家:約35万円
ただ、この料金はあくまで相場なので、部屋の広さや物の量でもっと安くなる場合も高くなる場合もあります。
詳しくは【遺品整理の料金相場】費用の目安は?料金を安く抑えるコツや業者の選び方をご覧下さい。
特殊清掃は、遺体の腐敗や腐乱によって汚れた部屋を原状回復させる作業
特殊清掃について説明します。
特殊清掃の作業内容
特殊清掃が必要になるような現場、つまり、事件や事故、自殺等の変死現場や孤独死により遺体の発見が遅れた現場では、遺体の腐敗や腐乱によって汚れた部屋を原状回復できないケースや、そもそも遺品整理作業が行えないというケースもあります。
そういった場合に行うのが、以下で説明する”特殊清掃“です。
- 害虫(うじ虫、コバエ、ゴキブリなど)の駆除
- オゾン消臭
- 床板や壁紙の張り替え
- 体液、皮膚の一部などの除去清掃
- 部屋の脱臭作業
特殊清掃は、上記のような清掃作業のことを指します。
特殊清掃が必要になるには様々なケースがありますが、基本的には部屋の中で孤独死された場合に行うことがほとんどです。
部屋の中で孤独死された場合、ご遺体の発見までに時間がかかってしまうと腐敗が進み、体液が流れ出るほか、強烈な異臭(腐敗臭、死臭)が部屋中に充満します。
上記の状態の場合、普通の拭き掃除や除菌・消臭作業では、汚れや臭いを消すことができないことがほとんどです。
そのため特殊な薬剤を使ったり、オゾン脱臭装置を1~2週間稼働させたりして脱臭を行います。
場合によっては、壁や床を張り替える作業も行います。また、作業者自身も汚物からの感染を防がなければなりませんので、防御服や清掃手順にも専門的な知識が必要です。
特殊清掃にかかる日数は3~5日間
特殊清掃にかかる日数は、部屋の現状や広さによってまちまちですが、あくまで目安を述べるなら、単身用マンションで3日間ほど、一戸建て(3LDK)の部屋で5日間ほどです。
当然と言えば当然ですが、清掃が困難なほど、そして臭いがする部屋が多いほど、作業には時間がかかります。
少なくとも即日でキレイになるというケースはおそらく無いので、お急ぎの場合でも理解が必要かと思います。
また、管理物件と自己所有物件では、誰が特殊清掃を業者に依頼するか?という問題も発生するので、清掃時間を考えるには注意が必要です。
特殊清掃の料金相場
体液の広がり(染み込み)の程度で、10万円から数百万円と、特殊清掃作業にかかる費用には幅があります。
例えば寝室で孤独死され、床下のコンクリートまで体液が染み込んでいる場合、オゾン消臭では臭いが取り切れないので、コンクリートを削り、再度コンクリートを乗せ直すケースがあります。
その場合は、数百万円以上の費用が必要なこともあるのです。
孤独死等の部屋の原状回復が、超高額になるリスクがあるため、現場再生のための保険が各社から出ているほどです。
また、マンション・団地などで、廊下や階段などの共用部分までオゾン消臭作業や体液の清掃作業をしなくてはいけないケースも多々ありますが、その場合も費用は割高になります。
また、階下に部屋がある場合にも、階下への体液の漏出がないかを確認しなければなりません。階下の部屋にも異臭やシミなどの影響が出ている場合は、その部屋の特殊清掃も行う必要が出てきますので、その分の清掃料金も考慮しなければなりません。
消臭作業が完了するまではどうしても臭いがきつく、作業員の身体・精神に負担がかかる作業なので、決して”格安”とはならないのが現状です。
以上、特殊清掃の内容についてお伝えいたしました。
遺品整理と特殊清掃のつながり
以上、遺品整理と特殊清掃はまったく違う作業ということを説明させていただきました。以下にまとめます。
遺品整理 | 特殊清掃 | |
作業内容 | 遺品整理とは、故人が大切にしていたものや、通帳、現金などの価値のあるもの、思い出に残るものを分けて、不用な品を処分し整理すること。 | 特殊清掃とは、事件や事故、自殺等の変死現場や孤独死により遺体の発見が遅れた現場で、遺体の腐敗や腐乱によって汚れた部屋を原状回復させる業務。 |
作業日数(業者依頼の場合) | 約1~2日間 | 約3~5日間 |
料金相場 | 一般的に遺品整理の料金相場はワンルームで約3万円、2階建て住宅で約15万円。庭付き一軒家で約35万円が目安。 | 10万円から数百万円。部屋や近隣へのダメージ具合や広さによって大きな幅がある。 |
孤独死の現場では、体液や血液が部屋の物品に付着している場合もあり、そのような遺品は、現金や高価な物(宝石、貴金属)以外は衛生上すぐに処分されることが多いです。
一方、衛生上問題のない遺品は特殊清掃作業完了後も残されたままになりますので、後にご遺族がそれらの遺品を整理することになります。
昨今ではそのような孤独死のケースも多いので、遺品整理業者と特殊清掃業者は同じ会社が行っていたり、業務提携している場合も多々見受けられます。
特殊清掃も行っている遺品整理業者の場合、特殊清掃で現場に入ったとしても、その後の遺品整理を想定して、最初に周辺荷物の分類や移動を考えて行います。
ですので、もし孤独死の特殊清掃で、遺品整理も一緒に考えているならば、特殊清掃のできる遺品整理業者を選ぶことをお勧めします。
当社アーチグリーンは、特殊清掃を扱っている遺品整理業者です。
孤独死、ゴミ屋敷など特殊清掃が必要な現場での遺品整理をしっかりサポートいたします。
遺品整理業者に特殊清掃を依頼する利点
特殊清掃作業を専門にした業者があることは先述しました。
ただ、当社アーチグリーンもそうなのですが、遺品整理業者と一緒に特殊清掃の手配もしてくれる業者に依頼すると、次のような利点があります。
- 遺品整理業者と特殊清掃業者の2社に依頼する手間が省ける
- 持って帰りたい遺品をできるだけキレイにして返してくれる
遺品整理業者と特殊清掃業者の2社に依頼する手間が省ける
遺品整理業者と特殊清掃業者の2社に分けて依頼すると、単純にそれぞれの業者の手配に手間がかかります。
2社のスケジュールを合わせなくてはいけないですし、費用が割高になるケースが多いです。
一方、遺品整理業者に、遺品整理と合わせて特殊清掃作業を依頼する場合、余計な手間はかかりませんし、余分な手数料などがかからないので、費用も安くなります。
持って帰りたい遺品をできるだけキレイにして返してくれる
あまり多くはないですが、特殊清掃が必要だった現場に置いてあった大切な遺品を、持ち帰りたいというご遺族の方もいらっしゃいます。
その気持ちを汲んで、遺品整理業者はできるだけ遺品をキレイにして、ご遺族の方にお渡しするようにしています。
布地の遺品など、染みついてしまった臭いが取りきれない物はどうしようもないのですが、陶器などの臭いが染みつきにくい物は、ご遺族の方が家に持ち帰っても問題のないレベルまで、キレイにできるケースが多いです。
まとめ
以上、遺品整理と特殊清掃は根本的にまったく違う作業という内容をお伝えしました。
特殊清掃が必要な状況では、ご遺族をはじめとする依頼者様の不安や焦燥感が、極めて大きいものだと考えられます。
遺品整理業者は、そうした方々の気持ちを第一に、迅速で丁寧な特殊清掃作業を心がけているのです。
特殊清掃だけに限りませんが、”自分ではどうにもできないこと”は、その道のプロに任せるのが安心です。
当社アーチグリーンで、お客様が納得・安心できる説明とご提案をいたします。どうぞお気軽にご連絡ください。