生前整理や遺品整理に携わり、10年になる生前整理診断士です。
最近では「ニュース番組」や「世界ゴミ屋敷バスターズ」「あなたのゴミがお宝に」など、生前整理やゴミ屋敷の清掃の番組が多く取り上げられ、生前整理や家財処分の認知度が上がっています。
そういった社会の流れから
「自分の死後に関し、生前にしっかり考えておこう」
という方が多くなってきています。
たとえば
- お墓を先に購入しておく
- どんなお葬式にするか事前に決めておく
- 子供に残す財産に関して遺言をしっかり書いておく
など…いわゆる「終活」です。「終活?」「生前整理」って。。。
あなたも「終活の中にある、生前整理って具体的にどいうことなの?」
と気になったことで、この記事を読んでいるかと思います。
生前整理はそんなに難しく複雑なことではありません。
かんたんに言えば、
「思い出を家族と共に整理する。そのお手伝いを生前整理診断士が行う」
ということです。
こんなお問い合わせが増えてきています。
【質問】 「終活」という言葉をよく耳にしますが、私も妻もまだ50代。 3人いる子供たちも独立し、いまは妻と地方で暮らす毎日です。健康診断も受けており、悪いところはありません。 友人夫婦が最近「終活」に取り組んでいるようなのですが、私自身はもうひとつ実感が沸かない、 というか… 死んでからの準備なんて、元気なうちからやるものでしょうか? (55歳男性・会社員) |
【生前整理診断士から】 「思い出を家族と一緒に共有したい!」であれば「生前整理」はおススメです。 自分のいないところで「こんな時もあったな・・・」と涙ながらに整理することで、問題がないなら急ぐ必要はないかもしれません。 |
このような質問が多く寄せられておりますので、参考に読んでみてください。
生前整理ってなにをするの?
【質問】 ところで、「終活」には「生前整理」とか「老前整理」とかいうものがあると聞きましたが、いったいこれはどう違うんでしょうか? 早めに始めるのが「老前整理」? その後にはじめるのが「生前整理」? (58歳男性・自営業) |
生前整理の「整理」とは
仕事は常に整理整頓しておくことが大切、というのはよく言われることです。
もしあなたが急な病気やけがで会社を休まなければならなくなった場合、その間に代理をしてくれる人に引き継ぎをしなければなりませんよね?
その際に仕事がきちんと整理整頓されていると、引き継ぐ人に迷惑は掛かりません。
引き継ぎの手間を省けるように、自分の仕事をしっかり把握し必要な書類を誰にでもわかるように整理しておく。これができる人は仕事ができる人ですしなにより普段の仕事でも頭の中がきちんと整理されているのでミスや間違いを犯しにくいはずです。
「整理整頓」が必要な理由は…
- あとを引き継ぐ人が苦労しないため
- 自分の頭をすっきりさせるため
という2つの理由につきます。
これを仕事ではなく、ご自身の人生としてお考えてみてください!
生前整理は、保険や財産、家族の思い出を「家族に引き継ぐ」ということです。
「老前整理」と「生前整理」の違いとは?
「老前整理」とは、自分が「老い」を感じたときに始めます。
本人が家族の助けを借りながら、いるものといらないものを分け不要なものを処分していきます。自分の「死後のため」というよりもむしろ、自分の老後の生活をスリム化させることが目的です。
老前整理を始めるのは、自分が老いを感じたとき…病気をしたときや、知り合いや親戚の死が相次いだときなどが目安となっているようです。
「生前整理」は、いつでも始められます。
いるものといらないものの整理を行うこと自体は「老前整理」と変わりません。ただ「生きているうち」に行うのが生前整理ですので、いつでも始めることができます。
財産の目録作成や遺言書の用意などを行うことで、自分の人生を整理できます。
かんたんにいうと、
- 老前整理は、自分の老後のためにやる整理。
- 生前整理は、自分の死後に自分の意思を通すための整理ということになります。
自分の死後、遺族が遺品整理で悩まないように。そして、遺品の相続を巡るトラブルが発生しないように…「必要なもの」と「不要なもの」をしっかり分け、整理・処分しておくことで、自分の死後に対する不安、家族の分裂は確実に解消されます。
自分の人生を振り返りながら、いまの生活もすっきりできる。
そして、自分の死後、有効活用できるように、相続でトラブルが起きないように整えておく。
これが生前整理の醍醐味です。
生前整理の必要性が高まっている背景
【質問】 妻もまだ元気だし離れて住んでいるとはいえ息子夫婦もいるし…いざというとき、もし自分になにかあったときは、信頼できる人間がこれだけいるので任せておいていいんじゃないか。 というのが正直な感想です。やっぱり生前整理はやらないとダメですか? (大阪・67歳男性・定年退職済み) |
【生前整理診断士から】 今は奥様と暮らされているということで安心です。 あまり考えたくないことですが、家計を管理している奥様が急に先立たれたり、管理しているあなたが先に亡くなったりした場合、やはりどうにもなりません。 |
実は生前整理の必要性が高まってきたことの背景に、独居、一人暮らしをする高齢者の増加があります。核家族化・少子高齢化が進むなか、一人暮らしの老人は約30年前の1980年と比べてなんと6倍にも増えました。
2014年4月11日の「日本経済新聞」によると、2035年には全国41道府県で高齢世帯が4割を超え、さらに高齢世帯に占める独居者の割合も46都道府県で3割を超える見込みとのことです。
高齢のうえに一人暮らしになってから、ご自分の財産を整理するのは大変です。まだ元気なうちに財産を整理しておくことで、遺族の皆さんの負担を軽減できます。
生前整理のメリット
ここで、生前整理を行うことの具体的なメリットを挙げておきます。
突発的に何かが起こったときに備えられる
たとえば急な病や事故などで入院したとき、生命保険証書や預金通帳、印鑑などが家のなかのどこにあるか、あなたの家族がわかりやすいようにしておくことで、あなたも家族も安心です。
「生前」整理ではありますが、ただ死後に備えるだけではなく、このように生きている間の急なトラブルにも有効なのです。
老化にともなう判断力低下に備えられる
歳をとるとアルツハイマーなどの病気にかかることもありますが、そうでなくても気力・記憶力・判断力が低下してしまうことは認めざるを得ません。
自分の意思がはっきりしているうちに、「さあ、やるぞ!」という意気があるうちに財産を整理しておくことで、安心して「老い」を受け入れられます。
遺族の財産トラブルに備えられる
自分の死後、思い出の詰まった財産を誰に相続するのか、遺した財産はどれくらいの値打ちのものなのか、そもそもどんな財産があるのか、それはどこに保管されているのか…
こうしたことをリストアップし、目録を作っていくことで、あなたの死後、遺族が財産をめぐるトラブルに巻き込まれることを避けられます。
では、実際に生前整理を始めましょう!
【質問】 生前整理の必要性やメリットに関してはわかりました。 わたしは色々なものを集める収集するのが大好きで、整理が大変です。 たとえばゴルフクラブ、絵画、美術品食器、釣具、腕時計、刀剣、切手など…敷地内の倉庫にいっぱい収集品があります。(これまで妻にもさんざん言われてきましたが)たしかに整理していかないといけないことはわかっているんですが、これほど量があるとなかなか腰が重くて… (大阪・63歳男性・会社経営者) |
【生前整理診断士から】 とてもよくある問題で、何かをコレクションしている人は多いです。ですが、ご遺族にするとこれが一番困ります。 本当にいいものをきちんと確認しておくことはとても必要なことです。 「悪気がなくとも骨董の価値を知らない遺品整理業者は処分した」ということがたくさんありますので、価値のわかる方がわかる方と一緒に生前整理し、骨董価値の確認をおススメします。 |
コレクションは、ものすごい価値があることもある(大阪での実例あり)
コレクターは「値打ちのあるものを集める」というよりも「好きなものをとことんこだわって収集する(なので、価値が上がります)」。
なので、集められたものの価値は、余程のマニア、おもちゃに非常に詳しいおもちゃやさん(まんだらけ)、もしくは、ご本人さんにしかわからない場合がよくあります。
ものすごく有名な高額なブリキのおもちゃ。
1950年代、玩具メーカーの増田屋が80体だけ製造したブリキのロボットおもちゃで、販売促進の為に配られたもの。
その額なんと、550万円!!!!!
知らないと、普通に捨ててしまいそうですね。
おもちゃでなくとも、コインであったり、カード、プロマイドなど、こんなことが遺品整理、生前整理の現場では、よくあります。
- コレクションのなかで価値が高いものは?
- 低いものは?
- 誰に、何を遺すのか?
こうした判断を自分ひとりで下すのは大変ですね。
しかし、千里の道もまず一歩から。
生前整理の具体的なやり方
いるものといらないものを分類する。
なにが「いるもの」でなにが「いらないもの」なのか、これを判断できるのは本人しかいません。ものに対する思い入れが深いとなかなかその判断はつきにくいもので、生前整理をするに当たっては、1番の悩みどころかも知れません。
一旦、「自分はどんなものを、どれだけ持っているのか」を把握し、パソコンなどを使って表を作る、手書きでリスト化する。
在庫をチェックするような感じで、自分の持ち物の全体像を再認識しましょう!
そこで、いるものといらないものを、分類していきます。
いるもの
- 価値が高いもの
- 非常に珍しいもの
- 思い入れがあるもの
- モノとして死後遺したいもの
- 将来的に価値がつきそうなもの
- 価値は低くても思い出深いもの…記念の写真や思い出の品など
- 価値が高く、遺しておくのにかさばらないもの
いらないもの
- 価値が低いもの
- 大量生産品など希少価値のないもの
- それまで忘れていたもの
- いまお金に換えたほうがよさそうなもの
- 古くなるだけで、価値がつきそうにないもの
- とくに思い入れなく記念として残してきたもの
- 非常にかさばり、遺された家族が迷惑しそうなもの
「価値が低いか、高いか」で分けることも1つの方法
ものを分けるにはなんらかの基準が必要です。価値以外にも「かさばるか、かさばらないか」、「お金に換えられるか、捨てるしかないか」などで分けていくとはかどります。
期限を設け、期限後に不要であれば処分する
また、こういう作業には別に期限があるわけではないので、どうしても判断がつかないものがある場合は、「いまは手放したくないので1年間置いておくもの」に分類するといいかもしれません。1年後、あらためてその処分を考えるわけです。
「いらないもの」をどう整理するか
さて、リストアップが終わったら「いらないもの」の整理に取り掛かります。一口に「いらないもの」といっても、その取り扱いはさまざまです。ここでは、「いらないもの」をどう自分の手元から手放すか、ということを考えてみましょう。
誰かにプレゼントする
高価なもので、死後子供やほかの誰かに遺したいと思っている品物があれば、今すぐプレゼントするのがいいでしょう。死後に遺言として遺しておくよりも、とりあえずすっきりしますし、なにより簡単です。
金額にして年間110万円を超えるものを他人にプレゼントした場合、「生前贈与」として課税対象になってしまいますが、逆にそれ以内のものなら課税対象にならない、ということです。
売り払ってお金に換える
価値があっても思い入れがないもの、洋服や書籍など非常にかさばるもの、数あるコレクションのなかでもとくに残しておきたいもの以外のものについては、売却してお金にしてしまいましょう。
出張買取をしてくれるような古物商業者やリサイクルショップなどに頼むと便利です。
最近ではネットオークションやフリマアプリもありますので、生前整理をきっかけに始めてみるのもいいでしょう。かなりのものを処分でき、お金にすることができます。
また近所で開催されているバザーやフリーマーケットに出品するのも一つの方法です。
処分する
どうしてもお金になりそうもないもの、というものはあるものです。これらはゴミとして出すと余計に粗大ごみ料金が掛かってしまう可能性もあります。
現在、生前整理の風潮が高まってきていることにより、全国に生前整理専門の業者は9,000社以上あるとされています。また、2013年には一般社団法人 生前整理普及協会が設立され、認定された生前整理アドバイザーが生前整理業者で活躍しています。
業者を探すにあたっては契約内容をしっかり書面化し、きちんとした見積もりを提出してくれることや、生前整理の専門家が所属していること、そして廃棄物の処分方法をきちんと明記されていることなどを基準に選定することをおススメします。
整理するとどうなるか
いらないものを整理したらかなりすっきりするはずです。
ものは手元から離れてもそれに伴う思い出は心に残り続けます。自分の持ち物を整理することが、これまでの人生を振り見つめなおすきっかけになる人も多いでしょう。
すっきりした後、どう遺し、どう管理するかを考える
財産目録を作る
自分はどれくらいの財産を持っているのか、死後に誰に何を遺すかをまとめた目録を作成します。
「いるもの」と「いらないもの」を分けるときに作ったリストのうち、「いるもの」として残ったものがこの財産目録の元になります。
預貯金、現金、有価証券、貴金属、骨董美術品、土地、建物、自動車などは、財産目録のなかでも必須の項目です。
実際にあなたが亡くなった際には、相続人が財産管理のためのオフィシャルな目録を作って管理します。ここで作る目録には法的な拘束力はありませんが、いざというときこの目録が相続人にとって大きな参考になるのはいうまでもありません。
そして自分の財産は「金額にするとどれくらいなのか?」「相続した場合、どれくらいの相続税が掛かるのか?」と予測できるのでとても便利です。
エンディングノートを作る
エンディングノートとは、自分の死後にどうしてほしいのかの意思を記したノートです。これは遺言書とは違って法的なものではありませんが、もしもの備えでもあります。
自分が突然この世を去ったとき、必要な情報をノートにまとめておくことで、周りが混乱するような事態を避けることができます。
書いておきたい情報は、
- マイナンバー
- 預金通帳番号・暗証番号
- クレジットカードやキャッシュカード番号・暗証番号
- 保険証書の保管場所
- 年金番号
- その他財産の保管場所
- パソコンやスマホの暗証番号やパスワード
- 取引のある金融機関担当者の連絡先
- 自分が亡くなったことを知らせてほしい人々の連絡先、ペットがいる場合は引取先などです。
- 終末医療や介護に関する明確な希望
- お葬式に関する希望
これらに加え、自分の人生の思い出や家族に遺したい言葉などを記しておきます。
デジタル遺品については特に注意が必要です。
ふつうの市販ノートでエンディングノートを作ることもできますが、最近では書店でフォーマット化されたエンディングノートが販売されています。
またワードやエクセルなどを使って独自に作るのもいいでしょう。その場合は、きちんとプリントアウトしたものを遺すようにしてください。
これらの情報は非常に重要な個人情報を含むため、エンディングノートは厳重に管理されることをおススメします。その管理場所についても、信頼のおける一番近い人(奥様や旦那様)だけに知らせておくほうがいいでしょう。
遺言書を作る
遺言書は財産目録やエンディングノートとは違い、死後、本人の意思を遂行するための民法上の効力を持つ書類です。
生前整理⇒品物の管理・処分⇒財産目録の作成⇒エンディングノートの作成⇒遺言書
という流れから、死後自分はどんなものを遺族に遺したいか? 誰に遺したいか? 誰に、どれだけ遺したいか? という意思がより明確になったと思います。
これらを死後、確実に実現するためには遺言書の作成は重要です。
法的効力を持つ書類ですので、弁護士・司法書士・行政書士など法律のプロの助言のもと作成するのがよいでしょう
また、公証人(裁判官や検察官等の法曹経験がある弁護士など)に遺言を聞き取ってもらい、書面を作成してもらう公正証書遺言は有効性が高く、より安心です。書面作成のプロが作るため内容の不備によって遺言が無効化したり、死後偽造されたりする心配もありません。
人生は一度きり。生前整理ですっきりしたら、新たな気持で人生を楽しみましょう。
人間が死ぬことを恐れたり不安に感じたりするのは、純粋に「死」が怖いことだけが理由でしょうか。
「自分が死んだら周りはどうなるのだろう?」という現実的な不安が、「死」への恐怖や不安につながっていることも一つの要因ではないでしょうか。
生前整理をすることで、「いつ死んでも、周りのみんなは悲しんでくれるだろうけど、混乱することはない」
そんな安心のもと、これからの人生を心配をなくし、楽しむだけの人生として楽しんでいきましょう。
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