少子高齢化に伴い、孤独死する高齢者の増加が社会問題とされています。高齢者だけでなく、若年層の孤独死も増えているため、危機感を覚えている方もいるのではないでしょうか。
今回は孤独死を防止するため、孤独死の原因や昨今の現状、防止方法について解説します。また、孤独死しやすい人の特徴もあわせて紹介しているので、自身はもちろん身の回りの方に置き換えて孤独死を防ぎましょう。
孤独死の主な原因
孤独死の直接的な原因として挙げられるものには、以下が挙げられます。
- 死別
- 周囲との関係性が希薄
- 経済面での困窮
孤独死につながる原因を把握することは、孤独死の防止にもつながります。以下で各原因について解説しているのでぜひ参考にしてください。
死別
夫や妻と死別し、精神的に弱ってしまうことで後を追うように亡くなる方もいます。
死別をきっかけに一人で生活することになり、病気や怪我、精神面の負担に気づいてもらえる人が近くにいない環境になることで孤独死に気づいてもらいにくくなることも原因です。
周囲との関係性が希薄
近隣住民との関係性を構築できていないと、自身の不調に気づいてもらえることは少ないでしょう。
配偶者との死別などが原因で精神的・肉体的に不安定となり、近隣住民との交流も急に減ってしまうケースも多く見られます。
周囲と良好な関係性を築いておかないと、万が一の事態が起こっても頼れる人がいません。死別の場合と同様、不調に気づいてもらえず孤独死してしまう可能性が高くなります。
経済面での困窮
経済面が困窮すると不調をきたしても通院できず、十分な治療を受けられないことで孤独死してしまう場合があります。
望まない離職などにより収入がなくなると、日々の生活を送ることすら困難になるでしょう。
配偶者と死別していたり、周囲と関わりが少なかったりすることで経済的な支援や援助を受けられず、誰にも気づかれないまま孤独死するケースも少なくありません。
また、経済面が困窮することで配偶者と離婚することになり、結果的に孤独死しやすい環境になってしまうこともあるでしょう。
昨今の孤独死における現状
東京都監察医務院が令和2年度に公開したデータによると、65歳以上で亡くなった方の多くが単身世帯であることがわかりました。
少子高齢化が進み65歳以上の人口が増えている中で、先ほど挙げたような原因から一人で亡くなってしまう方が増加傾向にあるといえます。
また昨今では、65歳以上・75歳以上の単独世帯数が上昇傾向にあります。特に65歳以上の上昇率は一般世帯よりも高いのが現状です。
実際、国立社会保障・人口問題研究所によるデータでも、単独世帯の増加率が2035年まで上がり続けるとされています。
昨今は少子高齢化に伴い、さまざまな原因で孤独死する人の人口が増えているといえるでしょう。
孤独死は、他の入居者への損害などの観点で残された遺族に迷惑をかけることにもなるため、現状を把握したうえで事前に対策を取っておく必要があります。
部屋や家財に染み付いた死臭により、近隣住民にも迷惑をかけてしまう可能性もあるでしょう。また、亡くなった後に部屋を元に戻したり、遺品整理したりといったことにも時間とコストがかかります。
孤独死の事例や孤独死後の処理については以下の記事にも掲載しているので、参考にしてください。
孤独死の事例 → 【孤独死の部屋】清掃方法や処理の手順/遺品整理の方法や料金
20代・30代で孤独死する人口も増えている?
孤独死と聞くと、65歳以上のいわゆる「高齢者」に多いものとイメージする人が多いでしょう。しかし昨今では、20〜30代の若さで孤独死してしまう人も過去に比べて急増しています。
一般社団法人日本少額短期保険協会・孤独死対策委員会により発表された「第4回孤独死
現状レポート」を見てみると、以下のような結果が出ていました。
- 20代で孤独死した人数と全体の割合→87人(3.1%)
- 30代で孤独死した人数と全体の割合→157人(5.7%)
参考までに、60代から80代までのデータも見てみましょう。
- 60代で孤独死した人数と全体の割合→912人(32.9%)
- 70代で孤独死した人数と全体の割合→647人(23.4%)
- 80代で孤独死した人数と全体の割合→177人(6.4%)
やはり60代・70代で孤独死する人が多いものの、80代で孤独死する人の割合は30代の割合とほとんど変わらない点に驚いた人もいるでしょう。
孤独死=高齢者がなるものとイメージする人が多い中で、昨今は若年層の孤独死が増えていることも把握しておく必要があります。
孤独死は単身世帯の増加が原因で増えている
直接「死」につながる原因には、未婚や貧困により一人でいることが当たり前となり、病気や自宅内の事故に気づいてもらえないことが挙げられます。
また、これらを身近にしてしまう原因があることも覚えておかなければなりません。
ここでは、孤独死が増える原因である以下2つの観点について解説します。
- 単身世帯の増加
- パラサイトシングルの増加
単身世帯の増加
ここまででも再三触れているように、死別や貧困により単身世帯となることで孤独死につながる場合が多くあります。
昨今は未婚率が高くなったり、核家族化が進行していたりといった理由でも単身世帯者が増えています。
自分に何かあってもすぐに気づいてもらえないという環境により、少しのきっかけが最悪の事態につながることが増えているといえるでしょう。
パラサイトシングルの増加
パラサイトシングルとは、年齢を重ねても親と同居し続けることを指します。ただ同居するだけでなく、金銭面などの観点で親に依存しているのが特徴です。
いわゆる「引きこもり」がちな人に多い状態です。パラサイトシングルが当たり前になっている中で親が亡くなると、親に頼っていたことが当たり前になりすぎて自分では何もできない場合もあるでしょう。
親に頼る以外の生き方がわからないと、普通の生活を自分だけで送ることもままならず、そのまま孤独死してしまうケースがあります。
孤独死を未然に防ぐためには?
孤独死は、以下のサービスなどを効果的に活用することで防止できます。
一人暮らしをしている親に利用を促すのはもちろん、いずれ自分が同じ状況に陥った場合を想定して概要を覚えておくのがおすすめです。
- 見守りサービス・安否確認サービス
- ホームヘルパー・宅配弁当
- 見守りアプリ・SNS
- 企業の見守りサービス・見守り家電
- デイサービス・デイケア
- 老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅
見守りサービス・安否確認サービスを利用する
地域によっては、ボランティアの人材が一人暮らしの人を訪問するサービスを提供しています。また、配達員やライフラインの検針員などと連携をとり、見守りや安否確認を行なっている場合もあるでしょう。
自分や家族が住んでいる地域でどのようなサービスがあるかは、自治体のホームページなどで確認してください。
ホームヘルパー・宅配弁当を利用する
ホームヘルパーや宅配弁当を利用すれば、担当者が定期的に自宅へ訪問してくれます。万が一のことがあっても気づいてもらいやすくなるため、孤独死を未然に防ぎやすくなるでしょう。
見守りアプリ・SNSを利用する
最近では、GPS機能などを駆使して安否確認などができるアプリも増えています。家族のスマートフォンにインストールしておくことで、何かあってもすぐに気づけるようになるでしょう。
もし親の近くにいてあげられない場合は、自宅に訪問するサービスの利用を親に促しつつ、担当者にアプリのことも伝えておきましょう。
また、SNSで近所の人とつながっておくことで、孤独死を防げる場合があります。更新頻度が少なくなったことに気づいてもらえるよう、できるだけ頻繁に更新しておくことを心がけましょう。
企業の見守りサービス・見守り家電を利用する
電力会社やセキュリティ会社の見守りサービスを利用することで、電気・ガスの使用量などで異常に気づいてもらいやすくなります。
また最近では、利用状況により生活リズムの変化を把握する見守り家電が注目されています。近所の人と関わりを持つことに抵抗がある場合は、利用してみてはいかがでしょうか。
デイサービス・デイケアを利用する
自宅に訪問してもらうだけでは不安という場合は、定期的に自分から足を運ぶ場所を作りましょう。
デイサービスやデイケアであれば、同じような寂しさを抱えた人と関わる機会も増えるため、新たな生きがいや楽しみが生まれるかもしれません。
老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に入居する
老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への入居は、孤独死を防止するうえでもっとも確実な方法といえるでしょう。
そもそも孤独死を中心とした事態を防止するために設立されているものであるため、家族の人にとっても安心です。介護・看護の環境が整っているのも大きな利点です。
孤独死しやすい人の特徴を押さえておくことも大切
孤独死を未然に防ぐうえでは、孤独死しやすい人の特徴を把握しておく必要があります。自身はもちろん、身の回りの人が孤独死しないよう、以下に挙げる特徴について把握しておきましょう。
パートナーが亡くなっている
孤独死の原因に未婚が挙げられますが、パートナーが亡くなって事実上未婚の状態になっている人も、孤独死しやすいといえます。
これまで自分の体を気遣ってくれた人がいなくなり、健康管理が疎かになりやすいことが理由です。
結婚歴がない人と比べて、突然一人になってしまった現実を受け入れられず後を追うように亡くなるケースも少なくありません。
アルコールを飲むことが多い
アルコールは依存性が高く、特に一人の時間が長いと負担がかかるまで飲み続けてしまう人も少なくありません。
寂しさを紛らわせるためにアルコールを過剰摂取し、依存症や肝臓に疾患を抱えて亡くなってしまう人もいます。
アルコールが原因で体調不良に陥っても、すぐに気づいてもらえる環境にないのも厄介な点です。
疾患がある
基礎疾患を抱えていると、一人でいる時に容体が急変し、気づいてもらえずそのままなくなってしまう場合があります。
一人の寂しさによるストレスが原因になる心筋梗塞など、突然死につながる疾患も発症しやすくなるでしょう。
周囲の人間と関わりがない
意図的に周囲の人間と関わろうとしない人は、万が一のことがあっても気にかけてもらえない可能性があります。また、周囲と関わりがないと、そもそも変化があっても気づいてすらもらえないでしょう。
結果として、誰にも気にかけられないまま亡くなってしまい、時間が経ってから発見されるケースにつながりかねません。
健康管理を疎かにしている
自身の健康や変化に対して無頓着な人も、孤独死しやすいといえます。特に、大切な人が亡くなって無気力になったり、アルコール依存の傾向があったりする人に顕著です。
自身の健康や変化にしっかり目を向けないと、孤独死しやすくなるかもしれません。
また、家族が健康管理を疎かにしている場合は、孤独死しやすい特徴であることを踏まえて定期的に様子を見に行ってあげましょう。
まとめ
今回は、孤独死の原因について解説しました。孤独死は配偶者と死別した人や経済面の余裕がない人に多いのが特徴です。
近年では若年層の孤独死も増加しており、自治体や企業などが孤独死を防止するさまざまなサービスを提供しています。ご家族が孤独死しないよう今回紹介した内容を把握し、孤独死を未然に防いでください。
ご家族が孤独死で亡くなった場合の対応についてどうすべきかわからない場合は、アーチグリーンへ、今すぐご相談ください。